シミュレーション 

1.ラインを読む


グリーンは水はけを良くするために、段差を除いて通常は約1〜4°の傾斜を持っています。
DMMP開発の初期段階で、グリーン傾斜角を定量的に測れるセンサーを試作しました。


(計測ライン:内側から 0.5° 1.5° 2.5° 3.5° 最大4.5°)

ゴルフボールはグリーン傾斜が3.8°を超えると安定的に静止することができなくなります。
(因みに急な斜面に見えても精々±3°程度のコースが多い様に思います)

少なくとも2パットで納めるためには1stパットでカップ1m圏内に寄せる事が大変重要です。
グリーン傾斜と方向(含 芝目)はパッティング前に必ず見定めましょう。

1)ラインの読み  (基礎編)

パッティング前にボールの転がり方を頭の中でシミュレーションします。カップからどれだけ
オフセットして打ち出せば良いかは、下図の転がり軌跡例(傾斜1°〜3°)を参考にします。


@傾斜に対し斜め上り方向はボールの曲がり量が少ない 

<シミュレーション 1 >
上り斜面に対し45度斜め上方にあるカップまでの転がり軌跡。グリーン:やや速い

Ball rolling trajectory on a up slope


A傾斜に対し真横〜下方45°方向は曲がり量が多い


<シミュレーション 2 >
 斜面に対し直角方向(真横方向)にあるカップまでの転がり軌跡。グリーン:やや速い

 
<シミュレーション 3 >
下り斜面に対し45度斜め下方にあるカップまでの転がり軌跡。グリーン:やや速い

傾斜が急で真横〜下方に向けて打つ場合、カップの上から流し込むラインを採ります。
ボールの転がり軌跡は速度が遅くなると、カップ周辺で傾斜の影響が強く出て来ます。
またグリーン芝の抵抗が強い場合はボール軌道の曲がり量も全体的に少なくなります。


2)ラインの読み方  (応用編)
ここでは傾斜を持つグリーン上でのパッティングで、特に難しいケースを更にご説明します。

<傾斜の真横方向のカップを狙う場合>
打出し方向とパッティングの”力(テークバック量)”をパラメータに、ボールの転がる軌道を
シミュレーションしてみます。

シミュレーション条件
傾斜2°、距離2m先のカップを真横からパッティングします。

1)打ち出し方角を上方へ約2割多くして、テークバック量を変化させた場合
 
     


2)打出し方角を上方へ約2割少なくして、テークバック量を変化させた場合 



<真横の打ち方(結論)>

@打出し方角を大きく取ると、ボールはカップより上側で静止します。1stパットでカップイン
を外すと、次のパッティングが難しくなります。
A打出し方角を小さく取ると、ボールはカップより下側で静止します。1stパットでカップイン
を外すと、次のパッティングが難しくなりますが、上り方向だけに@よりは良いと言えます。
B狙い方はボールの打出し方角を小さめにして、その分テークバック量を多くしてパットします。



<傾斜面の斜め45°〜下方にあるカップを狙う場合>

グリーン傾斜2°の斜め45°下方にあるカップを狙う手順の目安をご紹介します。

1)ボールとカップを結ぶ距離の、傾斜角に対する補正距離を定めます。図例では
「傾斜を考慮した計測距離」が実際の距離に増減率を掛けた補正距離です。
2)カップ位置から傾斜角=0の基準線に対し垂直線(図中 赤線)を結びます。
3)「傾斜を考慮した計測距離」を半径にして円弧を描き、垂直線(図中 赤線)
との交点(仮想カップ位置)を見つけます。
4)仮想カップ迄の推奨テークバック量を計測し、仮想カップを狙って打ちます。




仮想カップ位置を決める手順は、単一傾斜面にカップが切られていれば、次の方法もあります。

1.カップ位置に対する仮想打出し方向を先に想定します。                    
2.仮想打出し線に投影したカップ位置までボールを転がした場合、ボール自重による下方
落下距離を見積ります。
3.見積もった落下距離分だけ、カップ位置を垂直方向へずらして仮想カップ位置とします。

この場合、ボールを打つ場所に関係なく共通に使えます。
ライン読みは経験による勘も大事ですが、論理的なシミュレーションもお勧めします。



2.馬の背越えの最適パット力

馬の背を越えた下り斜面にあるカップを狙う時、最適なパット力を求めてみます。

カップまでの距離はL=1にして、上り傾斜角1°、馬の背のピーク位置をL=0〜1
間に設けて下り傾斜角を変えます。

パット力は平坦グリーンで距離L=1までボールを転がす量を基準に、0.7〜1.3倍に
変化させてボールの到達誤差量を求めてみたのが下図です。



一般に多くみられるのが、上り傾斜角1°程度にして、下り傾斜角2〜3°の場合で、
上図の馬の背ピーク位置=0.7に相当します。

カップまでの距離を10m、上り傾斜角につられてパット力を仮に1割UPで打つと、
ボールは2.6mオーバーしてしまい、3パットの原因を作ります。

上り傾斜角を2°、下り傾斜角を3°にした場合は、ボール到達誤差量は更に拡大し、
より正確なバックスイング量でのパットが求められます。

馬の背を越えてボールを打つ場合は、平坦グリーンと見做して距離を測り、計測した
バックスイング量で正確に打つ事に専念します。
(馬の背ピーク位置L=0.7の場合、経験的には馬の背を越えた所の距離を計測します。
これは下り段差があるグリーンも同様で、段差を越えた所を測ります。)


どの様な場合でも、狙う距離と方向に合ったパッティングが必須です。

特にDMMPは距離計測が非常に正確ですので、皆様の強い味方になる筈です。

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